植物園だより
(植物園ブログ 厚木キャンパス)

植物結実情報(643) ワビスケCamellia wabisuke Kitam.(ツバキ科) 2014-12-06 東京農大・農学部・植物園

ワビスケCamellia wabisuke Kitam.(ツバキ科)

日本に広く自生し、多くの栽培品種が見られるヤブツバキC. japonicaですがそのめしべの子房は無毛です。栽培種のツバキにタロウカジャ(太郎冠者)があり、そのタロウカジャの子房は有毛で、C. uraku Kitam.の学名で呼ばれることがあります。そして、このタロウカジャの実生ないしは子孫はワブスケと呼ばれ、雄蕊の葯は退化し花粉が作られません。その侘助が咲きはじめました。

画像 上から サガミワブスケ シロワビスケ ショウワワビスケ

                    (植物園 伊藤健)

植物結実情報(642) サイカチGleditsia japonica Miq. (マメ科) 2014-12-05 東京農大・農学部・植物園

サイカチGleditsia japonica Miq. (マメ科)

本種の長さ30cmに達するかのような巨大な莢(さや)を水につけて手で揉むとぬめりと泡が出るので、かつてはこれを石鹸の代わりに利用していました。日本の固有種で本州、四国、九州の山野や川原に自生するか、実などを利用するために栽培されていた落葉広葉樹です。大きな特徴として幹や枝には長さ5cmほどのするどい棘が見られます。サイカチの幹からは樹液がよく出、樹液を好む昆虫の好適な餌となり、特にカブトムシやクワガタムシがよく集まります。そのため、カブトムシを「サイカチムシ」と呼ぶ地域もあります。キャンパス内には1株見られ,私もこの樹で一回枝先に大量のカブトムシが多数みられ、バケツ一杯のカブトムシを取った記憶があります。     (植物園 伊藤健)

植物結実情報(641) アカマツPinus densiflora Siebold et Zucc. (マツ科) 2014-12-03 東京農大・農学部・植物園

アカマツPinus densiflora Siebold et Zucc. (マツ科)

冬の寒さがやって来たかのような風の強い1日でしたが、前々日まで固く閉じたアカマツの球果が今日見たら、鱗片葉が開き種子を飛ばし始めました。種子には翼が見られ、風などによって遠くに散布する働きをしています。アカマツですが雌雄同株の常緑高木で、花は雄花・雌花が別々につく雌雄異花です。受粉後球果が成長してきますが成熟するのは翌年の今頃となります。従って、画像の球果が開花したのは昨年の春だったのです。2年越しの球果・種子です。ところでアカマツ葉は柔らかく雌松とも呼ばれます。これに対し、海岸付近に見られる近縁種クロマツP. thunbergiiの葉は触れると固く先は痛く雄松とも呼ばれます。

画像 上から
   2014-12-01の球果
   2014-12-03の球果
   球果と種子
   種子

              (植物園 伊藤健)

植物開花情報(640) アキザキナギラン(ラン科) 2014-12-01 東京農大・農学部・植物園

アキザキナギランCymbidium lancifolium Hook. var. aspidistrifolium S.S.Ying(ラン科)

近縁種にナギランC. nagifoliumがあるが、こちらは関東地方以西の林下に見られ、花期は6から7月。これに対し、ここに紹介するアキザキナギランは日本では長崎・熊本・宮崎・鹿児島と沖縄に分布し、台湾、東南アジア、インドまで見られ、花期は秋。その他、本種には葉の縁に鋸歯がなく、花の色や花期が異なるほか、ナギランより株全体が大きく、葉は楕円形で基部が急に鋭くとがり、花序が葉よりも低く隠れるようになるなどの相違点が見られます。  (植物園 伊藤健)

植物紅葉・結実情報(639) ムクロジSapindus mukorossi Gaertn. (ムクロジ科) 2014-12-01 東京農大・農学部・植物園

ムクロジSapindus mukorossi Gaertn. (ムクロジ科)

東アジア、東南アジア、南アジアに広く分布する雌雄異花の落葉高木で、日本では新潟、茨木以西にみられます。夏に緑白色の雌花と雄花を同一花序に着け、秋に1.5〜2cmの果実をつける。果実の中に黒くて堅い種子が1個見られ、この種子は昔から羽根つきの身に使われています。果皮にはサポニンを含み江戸時代に石鹸の代用として使われ、近年洗剤に含まれる再汚染防止剤(分散剤)ポリビニルアルコールより綿布やポリエステル布において優れた再汚染防止効果があり洗剤としての価値が見直されています。またムクロジサポニンは溶血作用があり誤食すると胃腸障害や下痢を発症します。   (博物館実習生 バイオセラピー 4年 奥川渡)

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