植物園だより
(植物園ブログ 厚木キャンパス)

植物開花情報(1534)フウランNeofinetia falcata Hu(ラン科) 2017-06-17東京農大・農学部・植物園

フウランNeofinetia falcata Hu(ラン科)

日本原産のラン科植物のひとつで、着生植物。分布は広く、本州中部以南から琉球列島にわたる海岸近い地域に見られ、国外では朝鮮と中国から知られます。また、江戸時代には「富貴蘭」と呼ばれ、葉の形態や花に変異など様々な品種が鑑賞用に栽培され、現在でも100を超す園芸品種が知られています。葉は肉厚の線形で左右交互に出ます。初夏から夏に開花し、期、左右の葉腋から花茎を伸ばして、白色の小さな花を咲かせます。花は上品ですっきりとした芳香を放ち、距(きょ)とよばれる長い管が後方に伸びるのが特長です。近年、近縁属Ascocentrumと掛け合わせて作られた属間交配種が多く知られています。2013年の属名変更に伴い、Neofinetia属からVanda属に変更され、その場合には学名はVanda falcataとなります。                    (植物園 伊藤健)

北アルプス山麓の植物情報(1533)カキツバタ Iris laevigata Fisch.(アヤメ科) 2017-06-16東京農大・農学部・植物園

カキツバタ Iris laevigata Fisch.(アヤメ科)

今の季節、各地の菖蒲園からハナショウブI. ensata var. ensata開花の便りが聞かれます。ハナショウブは野生種ノハナショウブI. ensata var.spontaneaから改良されたものです。また、学名の上ではハナショウブが野生種の母種になっています。今回、北アルプス白馬山麓親海(およみ)湿原で近縁種のカキツバタを見てきました。そんな中、少し変わった形態の花を咲かすものが幾つか見られました。カキツバタに見られる3個の外花被片の中央部分には白色部分が見られます。奇形と思われる花は一見外花被片と思われる部分が6個見られ、うち3個は本来直立する内花被片が変わったものと思われます。 
画像 上)正常な花
   下)奇形と思われる花            (植物園 伊藤健)

北アルプス山麓の植物情報(1532)キヌガサソウ(シュロソウ科) 2017-06-14東京農大・農学部・植物園

キヌガサソウKinugasa japonica Tatew. et C.Sutô (シュロソウ科)

北アルプス北部栂池自然園に植物観察会のために行ってきました。自然園は例年になく雪が残り、大半の植物がまだ雪の中ですが、「栂の森」と呼ばれる場所でキヌガサソウがその優美な花を咲かせています。大きな葉を輪生状に展開し、花は径10cmと大きく、花弁のように見られる白色の外花被片10個ほど広げ、その内側に本来の花弁で細い糸状の内花被片が見られます。亜高山帯から高山帯の湿った草地や明るい林床に生え、中部地方の日本海側から関東地方北部、東北地方に分布する本州のみに分布する固有種です。登山者や高山植物愛好家に非常に人気のある植物の1種です。                                     (植物園 伊藤健)

植物開花情報(1531)クマノミズキCornus macrophylla Wall. (ミズキ科) 2017-06-11東京農大・農学部・植物園

クマノミズキCornus macrophylla Wall. (ミズキ科)

1か月前にミズキC. controversaの花が咲いていましたが、近縁種クマノミズキが咲き始めました。花はよく似ていますが、ミズキは葉が互生、クマノミズキは対生、しかも花期が1か月ほど遅れることで簡単に区別できます。キャンパス内ではミズキより個体数は少ないと思われます。本州、四国、九州に分布し、さらに朝鮮、台湾、中国、ヒマラヤ、アフガニスタンに分布する落葉広葉樹。材が比較的柔らかく、木地が白色で節が見られず、こけしや下駄に使われるようです。
                 (植物園 伊藤健)

植物開花情報(1530)イヌツゲIlex crenata Thunb. var. crenata (モチノキ科) 2017-06-09東京農大・農学部・植物園

イヌツゲIlex crenata Thunb. var. crenata (モチノキ科)

本州から九州、さらに済州島に分布が知られる雌雄異株の常緑低木で、刈り込みに強く、生け垣などの植え込み材料として植栽されます。あまり目立つことはないが、初夏の今の季節径5mmに満たない小さなクリーム色の花を咲かせます。花弁は4弁で、花には雄雌があり、雄花はまとまって咲くため、雌花よりも目立ちます(画像はすべて雌花)。本種イヌツゲの葉は互生しますが、印鑑、櫛、将棋の駒の材料となるツゲ科のツゲ(ホンツゲ)Buxus microphylla var. japonicaに似ていますが、こちらの葉は対生で区別は明瞭です。イヌツゲはツゲよりも材が劣るため「下等」という意味の「イヌ」が冠されています。      (植物園 伊藤健)

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