博物館トピックス
(「食と農」の博物館)

〜第11回「農の生け花」イベントに立ち会って〜

<初めに>
 今回、私は学芸員資格取得のための科目「博物館実習」でお世話になっている東京農業大学「食と農」の博物館で第11回「農の生け花」というイベント開催に実習期間中立ち会わせていただきました。「農の生け花」愛好者全国の集いの方たちによって行われるこのイベントは、3年に1度だけ当館にて開催されるものであり、このような貴重な機会に立ち会えたことに喜びを感じました。

<関係者方々のお話を聞いて>
 当イベントを開催するにあたり、講演会にてたくさんの関係者の方のお話を聞きました。「農の生け花」とは東京農業大学初代学長の横井時敬先生のご家族である横井友詩枝さんが始められたと伺いました。「季節の農作物を素材に、農具・民具等を器にした独創性ある生け花」であることを知りました。横井先生に友詩枝さんが、農業に使うものを生け花にしてはどうか。と提案したことが始まりだったそうです。
一般的には、生け花には色とりどりの美しい花、土台には剣山などが用いられます。そんな生け花の世界に、大きさも形もバラバラな野菜や果実などの農作物、こし機やお釜などの農具や民具を登場させるなどということを考え付く人はまずいないのでは?と私は思いましたが、きっと、ご家族である横井先生が密に接してきた「農業」というものに親しかった友詩枝さんであったから、野菜や果物、農具や民具が持つ色や形のユニークさを魅力として見出し、それらを最大限に活かす「生け花」というものに組み合わせる発想に至ったのではないかと思いました。

<「農の生け花」を体験してみて>
私たち実習生は、特別に「農の生け花」実演体験をさせていただきました!一般的な生け花は中学生の時以来でしたし、しかも今回は扱うものが野菜・果物と農具・民具です。大きさも形もバラバラ、一体何にどれを乗せればいいのかわかりません。そんな時に愛好家の方たちが「牛乳缶を花瓶のようにして使ったら?」、「ニラの実はボリュームアップにいいよ」などとたくさんのアイデアを出してくれました。私は皆様の発想力に圧巻されながら、少しずつ作品を完成させました!
 私はこのイベントに立ち会ったことで、農作物は食べるだけではなく、農具は使うだけではなく、生け花としてそのものの魅力を表現できる可能性も秘めていることがわかりました。この2日間は、味覚ではなく、視覚で「農を楽しむ」ことを学んだ私にとって貴重な体験となりました。

バイオセラピー学科4年 R.K


生活に根差した生け花「農の生け花」に参加して

10月13日(土)14日(日)に、食と農の博物館の企画展示スペースにて、「農の生け花」が開催されました。「農の生け花」は、横井友詩枝さんという方がはじめられたものです。旦那様である横井利直(元・東京農業大学教授)先生のお父様である横井時敬先生との繋がりで、今でも「食と農」の博物館で3年に1度開催しているイベントです。


「農の生け花」とは、生活で使われる様々な道具を器にし、野菜をメインに生ける生け花のことです。
今回は多くの出展者が様々なテーマのもとに作った「農の生け花」が展示されました。どれも個性的で、惹きつけられるような作品ばかりでした。


そして今回は特別に、実習生3人も「農の生け花」を体験させて頂きました。
私はお重を入れ物に使い、サツマイモや栗など秋の食材をメインに使いました。野菜と器の色合いを見ながら配置を考えました。角度1つを変えるだけでも野菜の表情が全く変わることもあるので、時間を忘れて取り組むことができました。

1番難しかった点は、平面的なお重にいかに野菜を立体的に置いていくかというところでした。そういう場合は、1歩引いて遠くから見てみると全体のバランスが分かり、必要なもの、そうでないものが見えてくるそうです。

私の作品のこだわりは、角ばったお重という入れ物の周りに、曲線が美しい植物のつるを置くことで、全体的に柔らかい印象にしたところです。実習生3人とも「農の生け花」の方々にご指導いただきながら、満足のいく作品を作ることができました。

今では生け花をする人の高齢化が進んでおり、こういった文化を引き継いでいく若者が少ないようです。私たち若い世代がこのような素晴らしい文化を途絶えさせないよう、伝え続けていく必要があると感じました。

最後になりますが、今回様々なことを教えてくださった「農の生け花」関係者の皆様、参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

博物館実習生 バイオサイエンス学科 N.K


「農の生け花」愛好者全国の集い

平成30年10月13日(土)・14日(日)「食と農」の博物館にて、「『農の生け花愛好者』全国の集い」が開かれました。3年に一度開かれるこの会は、矢ヶ崎静代実行委員長を中心に今年第11回を迎えました。全国から農の生け花愛好者が集まり、作品を紹介しています。農の生け花創始者である横井友詩枝(としえ)さんの作品再現コーナーもありました。

 そもそも「農の生け花」とは何なのでしょうか。私もこの会が開催されるまで知りませんでした。「農の生け花」とは、季節の農作物などを素材に、農具・民具などを器にした独創性ある生け花のことを指すそうです。一般の生け花と違い、地域の風土と、そこに住む人たちの感性に根ざしたもので、きわめて独自性のある様式になっています。

 今回のテーマは「農の心を耕し 広げよう」です。会員の高齢化が進む中、若い人にも「農の生け花」に興味を持ってもらいたい、魅力を伝えたい、また全国各地で広がりつつある活動を通して愛好者の輪をさらに広げたいという思いがあるそうです。

 今回、農の生け花を実際に体験できるということで、私たち実習生も農の生け花を体験させていただきました。

 私が器に選んだのは「釜」です。生まれたときから炊飯器に慣れ親しんできた私にとっては珍しい器でした。また素材に使った農産物も独特です。カブに葉っぱ付きのニンジン、丸茄子、しそなどです。見た目だけでなく香りも楽しめる作品になったと感じています。

 皆さんは、積極的かつ優しく私たちに教えてくださいました。「こんな野菜もあるよ」、「こんな風に入れると線が出てきれいに見えるね」などなど、つい言葉に乗せられ(?)て、たくさんの野菜を詰め込んでしまったように思いますが、とても面白いものが出来上がったと思います。

 今回実際に体験させて頂いて、見たこともない野菜や使い方を知らない農具まで、たくさんの事を知ることが出来ました。食べるだけがと思っていた野菜にも素敵な魅せ方があるんですね。とても勉強になりました。またたくさんの会員の方々とお話も出来て楽しかったです。

 最後に今回ご参加いただいた皆様、ご協力くださった皆様、誠にありがとうございました。

博物館実習生 バイオセラピー学科 M.T

ボルネオ 熱帯雨林の魅力

平成30年9月29日(土)「食と農」の博物館1階映像コーナーにて「ボルネオ熱帯雨林の魅力」のトークイベントが開かれました。
 本トークイベントでは動物学者の島 泰三氏、写真家の阿部 雄介氏、東京農業大学「食と農」の博物館江口 文陽館長がお話されました。当日は、50人ほどのお客様にご参加いただきました。

 まず、江口館長の司会で島氏、阿部氏の紹介があり、3人のご関係とそれぞれのご縁について話がありました。そしてスライドショーを通して島氏から長年の夢であったオラウータンとの出会いの話、阿部氏からボルネオの概要、生き物や昆虫、植物の話を伺いました。その後はフリートーク、質疑応答に移りました。お客様からの質問にも答えていただきました。

 今回のトークイベントは、名前の通りボルネオの話が中心でした。写真家阿部氏の視点と、動物学者島氏の視点を通して見たボルネオの話を聞くことができ、とても興味深い内容でした。ボルネオ特有の突出層に見られる珍しい生態系、ボルネオでしか出会うことのできない動物や植物、またボルネオの地に合わせて長い年月をかけて進化し続けてきた動植物について、実際に経験したボルネオでの暮らしの話など、密度の濃い内容で聞いていてとてもわくわくしました。
 フリートークは、江口館長を交えてのお話で、先のお二人の視点に「食と農」の博物館江口館長の視点も加わり面白いお話が伺えました。お客様からも積極的に質問していただき、とても有意義な時間でした。

 トークイベントが終わった後も先生方やお客様がお話している姿が見られ、和やかな空気が流れていました。大変貴重なお話を伺うことができた皆様はとても充実した、満足のいく顔をしておられ大変嬉しく思います。

 今回お話をしてくださった先生方、ご参加いただいた皆様、ご協力してくださった皆様、誠にありがとうございました。
最後に告知といたしまして、今回のトークイベントに参加していただいた写真家の阿部雄介氏の写真展が「食と農」の博物館にて10月8日(月)まで開催しております。興味のある方はぜひ一度足を運んでください。

博物館実習生 農学科 M.N

博物館実習レポート 「山梨県小菅村『見て、聞いて、作って、食べて 多摩川源流大学流 農山村地域との関わり方』」

 平成30年9月22日(土)「食と農」の博物館2階のセミナー室にて「東京農業大学 地域連携活動紹介講座 山梨県小菅村『見て、聞いて、作って、食べて 多摩川源流大学流 農山村地域との関わり方』」が開かれました。
 本講座では多摩川源流大学スタッフの矢野加奈子さんから源流大学の取り組みについてのお話、株式会社boonboon代表取締役の鈴木一聡さんから小菅村での鳥獣害に対する取り組みのお話を伺い、その後、クラフト体験や小菅村特産品の試食を行いました。今回、14名のお客様にご参加いただきました。


 小菅村は秩父多摩国立公園内にあり、多摩川の源流部に位置しています。95%が森林に囲まれており、都心から80km圏内にありながら四季折々の自然と昔からの生活文化が残っています。小菅村の人々は上流域を守ることは自分たちの暮らしを守ることだと考えて、川の水を汚さないようにおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんの代から言われ続けているそうです。下流に住む私たちがきれいな水で生活できるのも、小菅村の人々のおかげなのでしょう。

 多摩川源流大学は東京農業大学が行っている人材教育プログラムで「合同会社 流域共創研究所だんどり」が運営をサポートしています。小菅村やその他の流域地域全体を学びの場として農作業や文化体験などの体験実習を行い、その実習を通して農山村地域の暮らしを理解し、「百姓」を育成することを目的としています。「百姓」というのはどんなことでもできる人という意味で、将来様々な分野で活躍できる人材を育成することがこのプログラムの目指すところだということです。

 鈴木さんはシカの利活用、野生動物管理、自然体験活動の取り組みを行っていて、今回は小菅村での鳥獣害に対する取り組みのお話を伺いました。シカの捕獲から解体までを一貫して行い、お肉をイベント出店や道の駅で販売し、角や皮などはクラフト素材として活用しています。動物の命を奪ってしまうわけだから、ただお肉を食べるだけでなく「シカ」という素材を無駄なく利活用しようということです。そして野生動物による農産物や林産物への被害を減らすべく、野生動物の調査や管理も行っています。

 お2人のお話を聞いた後は、いよいよクラフト体験です。シカの皮を使って小物入れを作りました。最初にホックボタンをつける作業です。鈴木さんの説明を聞いた後好きな色のシカ皮の布を選んで作業開始です。直後、あちこちからボタンをたたくコンコン、ドンドンという音が響いてきました。学生たちが各テーブルにサポートにつき、うまくつけられない人のフォローもしっかり対応しました。なかなかつけられない方もいらっしゃいましたが、鈴木さんや学生のサポートで皆さん何とかボタン付け完了です。

 次は小物入れの端を縫い合わせる作業です。皆さん自分の好みの色の糸を使って縫い縫い縫い縫い…と、ここで学生たちが何やら運んできました。小菅村の特産品を使った食事ですね。お漬物にふかしたジャガイモ、ジャガイモにつけるワサビマヨネーズディップ、そしてシカ肉バーガーまでありました!実はセミナー開始の時から部屋にはシカ肉を焼いた美味しそうな匂いが充満しており、待ちに待った試食の時間です。小菅村の特産品のお茶も召し上がりながら一緒に皆さん小休憩。参加者の皆さんは満足そうな顔で美味しそうに召し上がっていました。

 食事をつまみながら作業再開です。縫い終わったら布に自分のイニシャルなどを、電気ペンを使って入れていきます。完成したものを見せてもらいましたが、皆さんどれも上手にできていて、とても気に入られた様子でした。小物入れが完成したら、しばし談笑の時間です。作業を通じて皆さん中が深まったのでしょうか、誰もが笑顔で話をされていました。

 アンケートに答えていただき、セミナーは無事終了となりました。参加者の皆さんは自分で作った小物入れを大切に使ってくださることでしょう。

 最後に今回ご参加いただいた皆様、ご協力くださった皆様、誠にありがとうございました。

             博物館実習生 農学科 M.N

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