農大市場
(学生ベンチャー)

あったかくなってきた。

ヒロ

細くはち切れんばかりの糸を、
指でつま弾いたときに鳴る音は、
冬の朝に似ている。


外に出れば、どこか凍てつく場所から長旅をしてきた風に出会う。
肌が緊張してこわばり、別に人見知りでもない私を、冷たく素っ気なくさせる。

遅れて日の光が空を我が物にし始めた。
闇が明けるその時に、辺りは、静けさと儚さをもって色を変える。

太陽が時の階段を昇れば、とても堅く冷たい空気もいくぶんか溶け始める。

その空気も優しさを身に付けたと近頃は感じるようになった。



人も、物も、言葉も、容易に世界をまたぐこの世は、私たちが"旬"を感じることを妨げる。

冬がやわらぎ、春にうつろぐこの瞬間を、景色を、
日本の地でそれを纏える素晴らしさを、、、


あたりまえの事は忘れやすいものだ。

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