アンダンテ
(管弦楽部)

学生指揮者の練習日誌 

こんにちは。トランペットパート所属、令和2年の学生指揮者です。

ここ最近はもう寒くて寒くて、布団から出られない生活が続いております。


前回から引き続き、

交響曲第2番「四つの気質」作品16/カール・A・ニールセン 第3楽章、第4楽章

の紹介をさせていただきます。


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第3楽章 Andante Malincolico
『「陰気で憂鬱な男」重々しい弦楽器の下降型から開始される第3楽章は、憂鬱質を表す"Malincolico(マリンコーリコ)"の楽章になります。』

第1楽章では、主人公の短気で怒りっぽい様子と、それに対する苦悩が描かれていましたが、第3楽章ではまた別の苦悩が表現されています。
楽章全体が重々しくどんよりした雰囲気に包まれていて、いかにも憂鬱!という感じです。

序盤、すぐに表れるオーボエの旋律をニールセン自身は「悲しみに溢れた短い溜息」と称していて、この旋律は後に様々な楽器へと引き継がれます。
憂鬱の感情はオーケストラ全体のクレッシェンドとともに次第に拡大し、最大まで達したかと思うと、今度はゆっくりと収束してしまいます。

収束するとこれまでとは少し雰囲気の違った、暗くもなく明るくもない非常にあいまいな曲調の部分へと移行します。
ニールセンはこの部分を「諦観」と呼び、苦悩に対してあきらめの境地に達した主人公の姿を描いているとのことです。悟りを開いたのでしょうか…?

「諦観」部分までも収束し静寂に包まれたかと思うと、突如冒頭の主題がより強く再現され、そのまま苦悩の絶頂に至るかのような激しいクライマックスが現れます。(悟りを開いたはずが…)
ここでもまた憂鬱が最高潮に達すると、徐々に落ち着きを取り戻し苦悩から浄化されたかのようにまた静かに収束し幕を閉じます。


第4楽章 Allegro Sanguineo
『第3楽章までの雰囲気とは一変し、これまでになく軽快で溌剌とした曲調は、まさに多血質を表す"Sanguineo(サングイネオ)"の音楽』

第1楽章、第3楽章はどちらも暗く、第2楽章も起伏のない平坦な曲調。
お世辞でも明るいとは言えなかったこの楽曲の印象を一変させるのが、この第4楽章です。

明るくユーモアを持ち、思い付きで行動し、気分や印象に左右されやすいが、感じがよく優しい人が多い、というのが多血質の特徴です。
その性質が表す通り、第4楽章では冒頭から飛び跳ねるような旋律と伴奏が現れます。
第3楽章から立て続けに聴くと、そのテンションの違いにびっくりせざるを得ません。

しかし今までの楽章の紹介から予想がつくと思いますが、この楽章もただ明るい主人公を描いているだけではありません。
ニールセンによると、そんな怖いもの知らずな主人公にも「何かが彼を怯えさせる瞬間」があるというのです。
その「何か」が突然訪れるのが第1主題の終わり、オーケストラ全体で奏でられるシンコペーションのリズムが特徴的な部分であると言われています。
まさに彼の驚いた声がこだましているような印象を受ける部分です。

第1主題まででひとしきり騒いだ後、「何か」に驚かされた主人公は第2主題においてちょっぴり元気をなくしたのか、第1主題と比べると四分音符を主体とした少し落ち着きのある曲調になります。
しかし、そんなことでは主人公の陽気な性質が消え去ることはなく、第2主題の途中から現れるトランペットのスキップ型のリズムを契機として、旋律にも軽やかさが取り戻されてゆきます。そして少しの休符の後、力強く第1主題が再現されます。

第1主題の再現が終わると楽曲のテンポは急激に遅くなり、すこし怪しげな曲想を持った部分に移行します。
初めてこの楽章を聴いた際には、主人公に突然何が起きたのかと心配になりましたが、この部分は主人公が珍しく、冷静にじっくりと考え瞑想している様子が描かれているそうです。

この部分が終わると、曲は再び陽気さを回復し行進曲風のコーダへと突入します。
このコーダでは、陽気さはあれど第4楽章冒頭の跳ねるような軽快さはなく、むしろ重厚感が加わった力強いものへと変化しています。
冷静に自分を見直し自身に溢れた主人公の威厳に満ちた様子を表したコーダとなっています。

第4楽章は比較的単純明快な曲ですが、細かい動きがとても多くテンポも速い曲であったため、この楽曲の第1楽章と同じくらい練習に苦労していたイメージがあります。部員の皆さん本当にお疲れさまでした。


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第113回定期演奏会で演奏予定であったプログラムを紹介してみると、やはり今までにないくらいクセのある、しかし魅力的なプログラムであったのではないでしょうか。
定期演奏会という形でお聴かせすることが叶わなかったのは残念でしたが、この今までになりプログラムに取り組んだことは決して無駄ではないと考えています。
幻となった第113回定期演奏会の経験を糧として、これからの活動がより良いものになっていくよう、部員一同尽力していきたいと思います。

これからも農友会管弦楽部をどうぞよろしくお願いいたします。


東京農業大学 農友会 管弦楽部
令和2年 学生指揮者

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